初心不忘(90センチ×120センチ)
第64回毎日書道展漢字部入選作です。
本来は「初心不可忘」(初心忘るべからず)で、世阿弥の「花鏡」の結びに紹介されている言葉です。
今日では、物事を始めたころの新鮮な気持ちを忘れてはいけないという意味に使われていますが、
世阿弥の言葉はそうではなくて、
若いころの未熟な芸を忘れなければ、そこから向上した今の芸も正しく認識できる
ということだそうです。(文化デジタルライブラリー能楽より)
私は、どちらかと言えば世阿弥本来の意味ではなく今風の解釈で、
「まだ未熟だった頃の(実はいまだに未熟者ですが)一途な気持や、王義之や空海と
格闘していた頃のことを忘れずに、謙虚に書を学び続けようとの思いで
この言葉を書きました。
しかしながらこの作品は出来がよくない。会場で自分の作品を見てがっかりしました。
まだまだ勉強が足りないということですね。
8月Ⅰ日からは 私の大字作品が六本木国立新美術館に陳列されます。
こちらは「継断」の2文字です。3.11を境に継続されるもの、断ち切られて
しまったものについていろいろ考えるようになりました。
でも・・溢れる気持ちはあっても、それを作品に表現していくのはなかなか
難しく、自分の作品の前に立つのはいつも恐い気がします。